狭心症・心筋梗塞では1分1秒を争う対応が必要
胸の苦しさを訴える患者さんには、酸素濃度の測定、レントゲン撮影、心電図の検査などが行われます。心電図で狭心症に特徴的な変化が見られることがありますが、痛みが治まったあとは心電図が正常でも安心できません。
胸の痛みの頻度が増加したり、動作に伴って痛みが強くなったりする人は、さらなる精密検査が必要です。医師は痛みの性質・頻度・症状の出るタイミングを詳しく聞き取り、必要なら循環器専門医へ迅速にバトンを渡します。
不安定狭心症や心筋梗塞などの緊急性のある疾患の場合、1分1秒の治療の遅れが治療の成功と失敗を分けることがあります。
治療が遅れるほど心機能の低下や死亡のリスクが高まるため、救急車での搬送が望ましいケースも多い。紹介状には既往歴や服薬を詳しく記載し、到着後すぐ治療に移れるよう情報共有を行います。医師だけではなく、受付スタッフや看護師、検査技師などのスタッフが緊急だと感じた場合は、最優先に診察する。そのような院内の体制を整えるのも、医療チームのリーダーである家庭医の大切な役割です。
※本稿は、『町医者2.0 病気やケガのよくある症状を診察室でぜんぶ聞いてみた』(日刊現代)の一部を再編集したものです。
『町医者2.0 病気やケガのよくある症状を診察室でぜんぶ聞いてみた』(著:鹿野耕太/日刊現代)
本書は、家庭医療専門医がどのように日々の診療に取り組んでいるかを、1日の診察内容を追体験する形で構成されています。
病気やけがの対処法に対する知識はもちろん、「家庭医とはどんな存在なのか」も知ることができる一冊です!