キャメロン:姉とふたりで遺産管理を専門とする弁護士をさがしました。弁護士は母の遺言状を修正して、わたしと姉を母の代理人として、財産や医療に関する決定ができるようにしてくれました。
そうした手続きをしたとき、母はまだ状況を理解できていましたし、文書にサインすることもできました。弁護士の指示でわたしたち姉妹は銀行へ書類を提出し、自分たちが母の代理人になったことを知らせました。
幸い、母はあまりインターネットに詳しくありませんでしたから、ネット・バンキングはしていませんでした。でも病気がわかってから、不審なお金の出し入れをチェックするために、わたしがネット・バンキングの手続きをしました。
そうやって見守り体制が整ってくると、母が支援を必要とする分野がわかってきました。たとえば母宛ての郵便物に目を通すと、慈善団体から寄付のお願いがたくさん届いていました。銀行の入出金と照らし合わせた結果、母がさまざまな団体に寄付するために小切手を切っていたことがわかりました。
そこで母と一緒に郵便物をチェックして、勧誘の手紙は捨てることにしました。懸賞に当籤したと電話をかけてきた人に騙されて、送金しそうになったこともありました。
アルツハイマーの診断を受けたあとも母はしばらくひとり暮らしを続け、わたしが頻繁に様子を見にいきました。車の運転はさせられないので、出かけるときは運転手を雇いました。
最終的にわたしの家で同居することになり、母はわたしの家族と2年間をともに過ごしました。そのとき、母のお金はわたしが管理していました。そんなに難しいことではありません。同居したことによって母宛ての郵便物がすべてうちに届くので、状況を確認しやすかったのです。
やがて記憶障害がひどくなって、そういう人を専門に見てくれる施設に母を入所させました。母は2つの施設で8年間を過ごし、2021年の1月に亡くなりました。末期のアルツハイマーで、がん患者でもあり、コロナにも感染していました。