鈴木 これだけ大勢の人が、90歳を超えても生き続ける時代になった。新しい歴史が始まったような感じがします。
一人ひとりが年齢とともに異なる体験を積み重ねていくわけですから、物事を受け入れる力がつき、感謝して生きることが身に染み、心の豊かさへと繋がっていく。ですから、老いることはおもしろいですし、生きるのがラクになるということだと思います。
伊藤 早くなりたくなりますね、90歳に。
鈴木 自分の身に降りかかる困難を受け入れる力を若い時から育てる。それが「よく生きる」ということに繋がるんじゃないかしら。でも、苦しみに耐えられなければ、わめいてもいいんですよ。
伊藤 わめいていい……。
鈴木 その人にとってはわめくのが自分らしさであって、それが自然体なんですから。そのまんまの自分のありようを受け入れたらいい。
伊藤 なるほど!
鈴木 人間こうあるべきだとか、立派に生きなきゃいけないとか、そんなことを考える必要はないんです。もともと人間は完全じゃないんだから。与えられた命を、自分はどういうふうに生きればいいのかな、と自分で決めていけばいいんですよ。
伊藤 人は、死ぬ直前までは生きていくわけですからね。
鈴木 一生懸命、その場で生きていさえすればいいんです。