ウール生産国
まずは羊毛からです。とくにメリノ種などの羊から取られる繊維は、衣類やテキスタイル製品に広く使われています。
「メリノウール」という言葉もよく耳にしますよね。世界最大のウール生産国で、とくに高品質なメリノウールで有名なのが、オーストラリアです。次いで大きな生産国はニュージーランドで、主に粗毛羊(カーリー羊)のウールが生産されます。メリノウールも生産しますが、それよりも耐久性があり、厚手の製品に適したウールが多く産出されます。
生後7カ月未満の仔羊から初めて刈り取った毛を使用し、繊維がとくに柔らかく、滑らかで、軽いのが特徴の「ラムウール」はオーストラリアやニュージーランドで多く生産されています。ラムウールは、高級セーターやスカーフに使用されます。
長い羊毛生産の歴史があり、「タータンチェック」や「ハリスツイード」などの伝統的な生地に使用されるウールでとくに有名なのが英国です。寒冷地向けのウールが多く、やや厚みがあるのが特徴です。
有名なハリスツイードは、今でも家庭で織られたものを集めて回って、刻印が押され輸出されるため、一定の価値を保っていますが、実はスコットランドの北西部のルイス島で、そのほとんどが織られています。
しかし、隣のハリス島でも同じテキスタイルが織られており、そのハリス島のミル(織物業者)が「ハリスツイード」という名前で広告を出し、世界に広めたがために、その名が世界に知られることとなり、作っているのはほとんどがルイス島にもかかわらず、ハリスツイードと名乗らねばならない羽目になってしまったというオチがつきます。
閑話休題(それはさておき)。スコットランドのシェットランド諸島が原産地のシェットランドウールは、太くて丈夫な繊維を持ち、ナチュラルなカラーが特徴で、やや荒い手触り、耐久性が高いためセーターやアウターに使用されます。
南アフリカも羊毛生産が盛んで、とくに品質の高いメリノウールが生産されています。オーストラリアやニュージーランドに次ぐ重要な生産地となっています。
南米のアルゼンチンやウルグアイでも羊毛生産が盛んで、とくにメリノ種の羊が多く飼育されています。品質は高く、衣料用ウールとして輸出されています。
無視できないのが、中国です。生産量では世界トップクラスにあり、主に衣料やカーペットなど幅広い用途に使用されるウールが生産されています。品質は様々で、低価格帯の製品にも多く使われていますが、カシミヤなど高級獣毛の産地としても無視できない存在です。