稼いだら使うのが資本主義の流儀

お金は「天下の回りもの」と言われますが、それは単なることわざではなく、資本主義社会の本質を言い表した言葉です。つまり、資本主義社会というのは、お金を持っている人がそのお金をちゃんと使わないと、経済全体がうまく回らない仕組みになっているのです。

いまの日本では、特に莫大な富を築いた人たちが、そのお金を使うことなく、がっちり貯め込んでしまっています。

実際、財務省が発表した資料によると、2023年度の日本企業の内部留保は600兆9857億円と過去最高を更新し、2011年度と比べて倍以上に膨れ上がっています。

つまり、日本の多くの企業が、稼いだ利益を新たな投資に使ったり、従業員の給料に反映させたりするのではなく、ただひたすらに「貯めている」わけです。それでは景気が良くなるはずがないし、経済が停滞して当然でしょう。

稼いだ人が稼いだお金をちゃんと使えばそれを支える産業が潤い、仕事が生まれ、経済が循環していく――これこそが本来の資本主義社会の姿です。

先ほども名前を出した前澤友作さんが自家用ジェットを買ったり、宇宙旅行に出かけたりすると、「世の中には貧困で苦しんでいる人もいるのに……」などと批判する声が上がったりしますが、彼の「派手な消費」のおかげで仕事を得た人、利益を得た人は相当数いるはずです。彼がそのお金をじっと口座に寝かせていたら、そうした経済効果は何も生まれなかったでしょう。

つまり、稼いだぶんをきちんと社会に還元することは、実はお金持ちの義務であるとも言えるのです。

それができないというのであれば、いっそ共産主義国のようにお金を国が預かって、等分に再分配したほうがまだマシなのではないか。そんな極端なことすら言いたくなってしまいます。

※本稿は、『65歳、いまが楽園』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

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65歳、いまが楽園』(著:和田秀樹/扶桑社)

65歳を迎えた、大ベストセラー『80歳の壁』の著者で、高齢者医療の専門家が断言!

「65歳からは、この世は『楽園』だと思ってこそ、本当に自分らしい人生を送ることができる!!」

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