夫婦で意見が一致したこと
そうです。第2の人生の地は探して探してたどり着いたわけでなく、こんな不意の出会いで簡単に決まったんです。
景色を見た瞬間、「住むならここ」って、夫婦で意見が一致したことは本当によかった。
ただし、すぐに住めるような、金銭的にもちょうどいい中古の家は見つからず。そんなときにまた、現在の土地との出会いがありました。
我が家の土地は、初見では田んぼの跡地と雑木林の状態でした。まだ宅地として認可されていない土地でしたが、「よかったら見てみますか」と、松本の不動産屋に紹介してもらいました。
場所は、なだらかな丘陵地で、周囲は別荘や地元の人が暮らす住宅などが混在するのんびりとしたのどかな場所です。
田んぼの跡地と雑木林ということで、まず造成して更地にし、本当にイチから家づくりをしなくてはなりません。
ただ、更地にもなっていない自然の雑木林という土地の佇まいを見たからこそ、気に入ったのかもしれません。
林に残っていた自生の大きな山栗の木など、気に入ってわざわざ新居の庭へ残した木もありました。
憧れていた、まさに自然に囲まれた場所での土に触れる暮らしに向けて、イチからの家づくりでした。
我が家の南の庭の向こう、つまり隣接地は今も雑木林のままです。その借景もとても気に入っています。
※本稿は『80歳、私らしいシンプルライフ』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
『80歳、私らしいシンプルライフ』(著:徳田民子/幻冬舎)
東京から安曇野に移住して16年。元『装苑』編集長、初のエッセイ
第2の人生を自分らしく楽しむ、シンプルで心地よい暮らしとおしゃれの工夫
60代で長野県安曇野市に移住し、第2の人生をスタートさせた元『装苑』編集長、徳田民子さん。移住のきっかけは、夫婦で訪れたドライブで眼前に広がる美しい北アルプスの風景だった。たくさんのものを手放し、暮らしをリセットする中で気づいたのは「シンプルって、心地いい」ということ。
移住から16年。四季のはっきりした安曇野での暮らしやおしゃれの工夫、毎日をごきげんに過ごす秘訣など、80歳を迎えた徳田さんの心豊かな日々をご紹介します。