元『装苑』編集長・徳田民子さんが、安曇野に移住して16年。「第2の人生」を自分らしく楽しむために、たくさんの物を手放し人生をリセットしていきました。たどりついたのは《シンプルって、心地いい》ということ。四季のはっきりした安曇野での暮らしやおしゃれの工夫、毎日をごきげんに過ごす秘訣などを語った、徳田さん初のエッセイ『80歳、私らしいシンプルライフ』より、一部を抜粋して紹介します。
移住をきっかけに暮らしをシンプルに。必要なものはそう多くないと気づきました
暮らしをリセットしたくて長野県安曇野市へ移住。この田舎暮らしを始めてから、もう16年がたちました。
移住の大きなきっかけは、もともと「定年退職後は東京の都会から離れて田舎暮らしをしてみたいね」と、夫婦で話し合っていたから。
また、私自身、50代に入った頃から、次第に気持ちの変化がありました。それは、いつの間にかたまってしまったたくさんのものを減らすことができたら、きっと心地よい。
心持ちも軽くなって身軽になって、また何か新しいことが始まる。そんな気持ちの変化がだんだんと大きくなっていたんです。そうした思いも自分の背中を押してくれていたのかとも思います。
もちろん定年退職後も大好きなファッションにかかわる仕事は長く続けていきたいと考えていました。
だったら東京でそのまま暮らしていたほうが仕事はしやすかったかもしれません。ですが、それよりも、新しい生活をしてみたい、という気持ちのほうがワクワクする。そのほうが絶対に楽しそう!と思ったからです。
2年くらいの準備を重ねて、64歳の秋に移住しました。都内のマンション暮らしから地方での田舎暮らしへ。そう、移住は、新しく始まるこれからの暮らしに必要なものを見直すいい機会になったんです。
新しく住む場所は、自分の目の届く、小さな家にしようと決めていました。さて、どうやってものを減らすかが大問題です。
私は、残す基準としてシンプルに、「使うものだけ」と、決めました。