そんな経験を経て、24歳になった昭和60年。この年はとてもつらい1年となりました。5月に結婚が決まっていたところ、夫となる人が急病に。式の3日前に延期が決まりました。3ヵ月後に退院のめどが立ちほっとしたのも束の間、今度は私の母が仕事中の事故で、突然他界してしまったのです。
とても落ち込んだのですが、夫の励ましに助けられました。母はまだ54歳でした。早すぎるお別れでしたが、孫である兄の子ども2人の顔を見ることができ、私の結婚相手とも会えたのは幸いだったと、今では思えます。
婚家は手漉き和紙の製造と販売をしていました。出会った頃夫は会社員で、結婚を機に家を継ぐことに。代々の墓がまだないと聞いたので、私が立派なものを建てようと張り切りました。ですが、義父が「墓はいらん」と一言。代わりに父と兄が庭に立派な灯籠を一基、建ててくれました。
そのときは少しがっかりしましたが、最近は墓の守りが大変になり、墓じまいをするという話を耳にしますね。わが家も子どもがいないので、墓がなくてよかったと思う今日この頃です。
先日、久しぶりに実家に行き、祖父母、両親、兄の眠るお墓にお参りしてきました。両親には健康な身体に産んで大切に育ててくれたこと、わがままいっぱいの娘を短大まで出してくれたこと、花嫁道具や着物も揃えてくれたことに感謝しています。これからも健康に気をつけて、みんなのぶんまで長生きしたいです。