森永さんの愛したミニカーを見つめる弘子さん

亡くなった後、仕事のメールが来ていないか夫のパソコンを確認した次男が、「えっ」と声を上げたからどうしたのか聞いたら、「ネットオークションの買い物かごに商品が入ってる」って。それもミニカー。(笑)

困ったのは、夫の死後に銀行口座が凍結されて、ネットオークションの会費や携帯端末の使用料まで、さまざまな会社から「引き落としができません」と振込用紙が送られて来たこと。

夫は生前「終活のために資産の整理を」なんて解説していましたが、自分はそこまではしていなかった。結局は、最後の最後まで、死ぬつもりがなかったんですよ。仕事も買い物も、続ける気まんまんだったと思います。

そもそも、絶対面倒くさいことになるとわかっていたから、私が先に死ぬ予定だったんです。なのに、夫はこのB宝館も、膨大なコレクションも遺して逝ってしまって。困っていたら、次男が館長を引き継いでくれました。

次男はコレクター心がわかるようで、そういうところは夫から受け継いだのかもしれません。家族のことは最後まで顧みないままでしたが、すごく頑張っていたのも、見ていてわかっていましたからね。

「いつ死んでもいいように生きる」と、生前本人はインタビューなどで語っていましたが、その目標は果たされたのではないでしょうか。仕事が夫にとって一番の「薬」だったんだなと、今となってはそう思います。

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