業者から買う――やっぱり希少品は高い
我々一般人の中にも、アクアリストといって水槽を趣味にする人がいる。そうでなくても、子どもの頃、あるいは今、金魚やメダカを飼っている人は多いだろう。どこで魚を買うか? と問われれば、専門の業者の営む熱帯魚店の人が多いのではないか? メダカなんて、最近は絶滅危惧種だからその辺では採れないし。
水族館も、時に専門の業者から生物を買うことがある。この世界には、水族館御用達の業者がいくつも存在していて、その在庫リストが定期的に水族館に回ってくるそうなのだ。
筆者も遠い過去に一回見せてもらったことがあるけど、すごいよ。何がすごいって、「この業者は、こんなレアものを、しかもこんな量、どこから仕入れるんだ……?」という点。「沖縄産**(3匹)」「北海道沖深海モノ」「フィリピン輸入●●」……このリストだけ見ていても一日潰せそうなぐらい、いろんな生物が並んでいて面白かった。
で、気になるお値段だが、実にピンキリのようだ。熱帯魚店や鮮魚店でも売られているような種類は、得てしてそんなに高くないが、出回らない魚になると値段が上がってくる。そして、輸入物や希少な生物は、驚くほど値段が高い。
例えば、「ナポレオンフィッシュ」の名前で有名なメガネモチノウオ。最大で2メートルにもなり、畳のようだとたとえられる青緑色の巨魚で、ワシントン条約の対象にもなっている。そんなこいつは業界人の間で、俗に「センチ1万」と呼ばれるらしい。つまり、30センチの若魚でもお値段30万円(!)ってことだ。
ほか、海藻に擬態するタツノオトシゴとして有名なリーフィーシードラゴンも、原産地オーストラリアの法律で輸出が規制されているので、やはり10万円は下らないとか。中には100万円単位のものが「応相談」として書かれているという話も、風の噂で聞く。
結局ここでも、金にモノを言わせられる裕福な水族館が、より貴重な品を手に入れられるという、資本主義社会の世知辛さがある……。