主役級のスターは経営を圧迫する

「じゃ、水族館を全部、主役級のスターで埋めればいいじゃん?」と思った方。そうもいかないのよね。

だって、主役級の俳優を10人集めたドラマがあっても、そのドラマの主役は(ダブル主演でもない限り)一人じゃない? もったいなさ過ぎるでしょ。それと一緒で、人気の生物だけ集めても、その中で優劣ができてしまうからあまり水族館に旨みがないんだわ。第一、そんなスターは得てして購入費用が高いから、ただただ経営を圧迫するだけなんです。

そう、客商売である水族館は「何を見せるか?」まで計算して、展示に出していることが多い。客の動線を計算し、要所要所にスターの生物を置き、飽きさせないようにしつつも全体を見てもらえるような、そんな工夫が各水族館に見て取れる。

まあ、あくまでそれは経営側の視点。客側は全部を見るのもよし、スターの生物だけをつまみ食いするのもよし、そこは自身の裁量だ。もちろん筆者のような水族館ヲタクは、水槽の脇役、何なら「名もなきモブキャラA」に至るまで観察する。

そして中には「ウニやヒトデ専用の水槽」をつくってしまうような変態的な水族館もある。なぜか知らんが、そのたぐいのマニア向け水族館は、和歌山県に多いんだよね。京都大学白浜水族館とか串本海中公園とか。