降板・引退は突然に――老後は余生をのんびり……とはいかない
先ほど記した通り、展示水槽にデビューする生物と入れ替わりに、予備水槽に引っ込む生物もいる。バックヤードで繁殖させるためだったり、何より死亡した生物のガラが回収されるのは当然の話だが、ほかにも……。
(1)病気やケガ
人間同様、生物も病気になることもあれば、水槽の中で傷つくこともある。病気になった魚がバックヤードに回収されるのは、治療のためもあるが、何より水槽にいる他の魚に病気を感染させることを防ぐ意味合いが強い。
また、水槽内で生物がケガをすることがある。デビューした新入りが先客と相性が悪くケンカをすることがある、というのは前に述べた通りだが、それ以外にも水槽の壁や岩でこすれて体をケガすることもあるのだ。
で、ケガをした生物がいる場合、ほかの魚やカニなどがその部分をつついてしまい、より重傷になるリスクがある。たとえ獰猛なサメでなくても、血の出た部分を狙ってガリガリかじってしまうのよ。生存競争の中で生きる生物の野性はすさまじいものがある。少し油断するとすぐに手遅れになってしまうから、早急に回収しなければならないのだ。