ロケットスタートしたものの

どうして僕が「捉え方を変える」という発想にたどり着いたのかといえば、早い段階でアップダウンの激しい人生を経験し、都度いろいろと考えながら歩んで来たからなのではないかなと分析してます。僕がRAG FAIRの一員になったのは2000年、23歳の時でしたが、ホントに波乱万丈で……。

RAG FAIRは関東の大学アカペラコーラスの精鋭6人で結成され、フジテレビ系バラエティ番組の人気コーナー『全国ハモネプリーグ』に出場したことから2001年にアルバム『I RAG YOU』でデビュー。翌年に発表した2枚同時発売のシングル「恋のマイレージ」「Sheサイドストーリー」がオリコンチャートの1位と2位を獲得し、その年の『NHK紅白歌合戦』に出場するという快挙を遂げた。

コンサートで歌を披露するRAG FAIR土屋礼央さん
写真提供:ワタナベエンターテインメント

ロケットスタートを切ったところまでは良かったのですが……。RAG FAIRは周囲の人達が作ってくれたロケットにたまたま乗せてもらったというの感じで、ラッキーだった反面、自分で成し遂げたという実感がなく、そのせいかワクワク感に欠けていたんです。で、結局のところ、てっぺんから始まったら下っていくのが宿命、あとは流れに身を任せるしか術がなく、2011年の3月に無期限の活動休止を発表することになりました。

RAG FAIRってまだ歌ってるの?と言われ続けて早15年。今でこそ「まだ歌ってますよ~。定期的にコンサートも開催しているし、メチャクチャ楽しく音楽活動をしています!」と胸を張って言えますが、ここに至るまでには苦しい時期もありました。同時期に歌い手として活躍していた人がラジオのスタジオゲストに来ているとき、一方の僕は外でロケのリポーターをしているとか…。悔しかったし、この先どうなっていくんだろうという不安もあったし、もちろん焦りもありました。今にして思えば暗黒時代でしたね。