アカペラグループ「RAG FAIR」のリードボーカルであり、ラジオ番組のパーソナリティとしても大人気の土屋礼央さん。49歳の誕生日にあたる9月1日に上梓した『捉え方を変えてみたら大抵の事が楽しくなった僕の話』(主婦の友社)には、「自分の仕事はピークを過ぎたかも」「このままじゃマズイかも」といったミドルエイジクライシスから脱却し、楽しい日々を獲得するまでの実体験が綴られている。
(構成:丸山あかね 撮影:本社 奥西義和)
(構成:丸山あかね 撮影:本社 奥西義和)
人生のどん底で脱力して生きる術を見出した
10冊目になるエッセイ本を発表できて嬉しいです。4年ほど前に出版した本は家族がテーマでしたが、今回は主に仕事について書きました。最初に企画をいただいた時は「礼央さんみたいに生きたいと思ってる人がたくさんいると思うんですよね。失礼ながらトップランナーというわけではないけど楽しそうなので」と言っていただいて。(笑)
元々はコミュニケーション術について執筆してほしいという依頼だったんです。でも僕は処世術的な感じで人と接していないので、いろいろと話し合った結果、物事の捉え方について書こうとテーマを大幅に変更して挑みました。といってポジティブに生きましょう! と呼びかけているわけではなく、むしろ「頑張らなくてもなんとかなる」という脱力系です。
10年ほど前に発声障害を患ってまったく歌えなくなり、人生のどん底を味わいました。でもその時に、この辛い状況を逆手にとって楽しんだほうがお得なんじゃないかと考えたんです。もしかして視野を広げるチャンスかもと捉え方を変えてみたら、異業種の人達との出会いや歌以外の仕事が増えて結果オーライだった…という経験がきっかけで、以来、「壁にぶち当たったら捉え方を変えてみる」がモットーになりました。
方法は人それぞれだと思うのですが、苦境に立たされた時に「捉え方を変えてみるという方法があった!」と心に戻る場所を作っておくと冷静になれるし、気分が楽になります。なので辛い辛いと思っている人がいたら、こういう考え方もあるのかとヒントにしていただけたらと。さらに土屋の真似をしてみたら人生が好転した、なんてことを言っていただけたら最高です。