本音を書いたらスッキリした

TBSラジオ『立飛グループpresents 東京042〜多摩もりあげ宣言〜』のパーソナリティを務めるRAG FAIR土屋礼央さん
(C)TBSラジオ『立飛グループpresents 東京042〜多摩もりあげ宣言〜』

土屋さんは今回の本を書くにあたり、秘かに課題を掲げていた。ある時、元編集者でフリーライターの武田砂鉄さんがラジオ番組のゲストに来た時のこと。土屋さんの家族をテーマにしたエッセイ本を読んでくれていたことに感激したが「ところで土屋さんの本音はどこにあるのですか?」と尋ねられ、答えられない自分が悔しかったと振り返る。

本音を書いているつもりだったのですが、上手く言語化できていなかったというか、どちらかというとクスっと笑ってもらうのが役割だと感じてました。いずれにせよ大事なことが伝わりづらかったという反省を踏まえて、本書はヒリヒリしながら自分と向き合い、しっかりと本音を言語化できたかなと思っています。「自分の仕事はもうピークを過ぎたかもしれない」なんてことは、つまらないプライドを抱えていた以前の僕には書けなかった。でも「認めたくない」から「現実を受け入れる」にシフトチェンジしたら、自分の気持ちを整理することができてスッキリしました。

本音炸裂トークの流れで、付録として僕の半生も書いてみました。物事の捉え方を変えるという視点を備えることができたのは生い立ちの影響なのではないかと考えたからです。特にレオナルド・ダ・ヴィンチから一部名前を拝借して息子に礼央と命名したユニークな父の存在が大きいと思ってます。

父は土屋禮一という日本画家なのですが、父から中学時代に「情報はいらない、目が濁るから」と言われたことなどが衝撃的で。昨日も電話で「富士山を描いても土屋禮一の富士になってしまう。もっともっと自分を消したい」と言っていて、息子の僕が言うのもなんですが思わず感動してしまいました。西洋の油絵はどんどん絵具を重ねて自分を足していく。対して日本画はどんどん自然に戻して自分を消していくという考え方が、僕には人生哲学として心に響くのです。