昨今、書籍や映画、ネット動画などを通じ、空前のホラーブームに。実はその恐怖の根底には、私たちの多くが知る「怪談」があるといえるでしょう。イザナミの祟り、四谷怪談、雪女、牛の首、口裂け女、生き人形、きさらぎ駅、そしてバックルーム……。もはや教養ともいえる怪談を、怪談の名手・吉田悠軌さんが厳選したのが『教養としての最恐怪談』です。今回その本より「きさらぎ駅」を紹介します。
きっかけはある投稿
「気のせいかも知れませんがよろしいですか?」
2004年1月、2ちゃんねるオカルト板のスレッドに、そんな文章が投稿された。
「先程から某私鉄に乗車しているのですが、様子がおかしいのです」
いつも通勤に使っている電車が、なぜかずっと駅に停まらず走り続けているというのだ。不安になった投稿者が、リアルタイムで携帯電話から2ちゃんねるへ書き込んでいるらしい。
興味を示したスレッド住民たちは固定ハンドルネームとトリップを付けるように依頼。相談者は「はすみ ◆ KkRQjKFCDs」として、奇妙なやり取りを続けることとなる。