電車は「きさらぎ駅」へ

はすみの乗った電車はこれまで通った覚えのないトンネルを過ぎ、速度を緩めた。そして聞いたことも見たこともない「きさらぎ駅」なる無人駅に停車する。

『教養としての最恐怪談 古事記からTikTokまで』(著:吉田悠軌/ワン・パブリッシング)

ホームに降り、掲示板にどうしようかと相談するうち、先程の電車は走り去っていった。周囲には誰もおらず、時刻表もなければ電車が来る気配もない。

その後、はすみはスレッドの住民と相談しながら4時間にわたって実況を続けていった。

だが誰も「きさらぎ」なる駅を知らず、状況は好転しない。

駅の外に出てみるも、周囲には草原と山があるばかり。公衆電話もタクシーも見当たらず、110番通報は繋がったものの、いたずら電話と思われてしまう。