飴の包み紙を見つけて
その周りに散らばる飴の包み紙を見て、Aさんたちは状況を理解した。
……身重のまま死んだこの女は、墓の中で赤子を産んだ。そして幽霊となり、副葬品の六文銭で飴を買っていたのだ。乳の出ない自分の代わりに、飴を舐めさせてこの子を生き長らえさせるため……。
赤子は寺に引き取られ、無事に育った。
長じた後には立派な高僧になったという。
※本稿は、『教養としての名作怪談 日本書紀から小泉八雲まで』(著:吉田悠軌/ワン・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『教養としての名作怪談 日本書紀から小泉八雲まで』(著:吉田悠軌/ワン・パブリッシング)
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