飴の包み紙を見つけて

その周りに散らばる飴の包み紙を見て、Aさんたちは状況を理解した。

(イラスト:『教養としての名作怪談 日本書紀から小泉八雲まで』より)

……身重のまま死んだこの女は、墓の中で赤子を産んだ。そして幽霊となり、副葬品の六文銭で飴を買っていたのだ。乳の出ない自分の代わりに、飴を舐めさせてこの子を生き長らえさせるため……。

赤子は寺に引き取られ、無事に育った。

長じた後には立派な高僧になったという。

※本稿は、『教養としての名作怪談 日本書紀から小泉八雲まで』(著:吉田悠軌/ワン・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
2ちゃんねるに「きさらぎ駅で降りた」と書き込んだ<はすみ>だが、見知らぬ中年の車に乗り込んだのち実況が途切れる。しかし皆が忘れつつあった7年後…
「これがわたしの顔かいなぁ」『四谷怪談』では夫に盛られた毒薬で顔が爛れ、小刀が首に突き刺さり絶命したお岩。しかしモデルの逸話では意外すぎる展開が…
温泉旅館でくつろいだ夜、ほろ酔いでベッドに横になると聞こえてきたのは…。目を開けるとピタリとやむその轟音に、おびえたまま朝を迎え

教養としての名作怪談 日本書紀から小泉八雲まで』(著:吉田悠軌/ワン・パブリッシング)

名作怪談のあらましを知る「怪談まとめ」本。誰もが知る名作怪談、歴史的エピソードの中の怪奇譚、文豪にまつわる奇妙な実話などを、怪談の名手・吉田悠軌が書き下ろしで紹介。「恐さ」はもちろん「なぜ恐いのか」の奥行きを基準に厳選しています。