異なるチーム同士が対立した時は……

工藤 まずは、考えや意見の相違は「間違い」ではなく、「違うだけ」と捉えることができる人になること。もし、「それは間違ってる!」といら立ちを感じたとしても、そこで「今、感情の問題になっているな」と自ら気づける人になること。この2つができるようになれば、対話で対立や衝突を乗り越えていけるようになります。

岡田 そのとき、対話のスタート地点になるのが、その組織の全員が納得できる「最上位の目標」ですね。

工藤 はい。会社でも、スポーツのチームでも、学校でも、クラスでも、一番上に据える目標が全員にとってOKなものであれば、そこに立ち戻ることができます。

異なるチーム同士が対立した時はいったん冷静になって「最上位の目標」を再確認して、お互いに共有し合いましょう、ということです。そうすれば感情の問題から離れ、同じ目標に向かって何をすべきか対話を再開し、深めていくことができます。

※本稿は、『THE CAPTAINSHIP(ザ・キャプテンシップ):絶望を希望に変えるシン・リーダー論』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

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THE CAPTAINSHIP(ザ・キャプテンシップ):絶望を希望に変えるシン・リーダー論』(著:岡田武史、工藤勇一/実務教育出版)

「キャプテンシップ」とは、従来のトップダウン型・ボトムアップ型を超え、仲間と共に並走しながら進む新しいリーダーシップの形。

本書は、サッカー日本代表監督として数々の偉業を成し遂げ、現在愛媛・今治の地で新しい「教育×地方創生」の形に挑戦する岡田武史氏と、岡田氏と共に教育現場の最前線でリーダー教育に努める工藤勇一氏が、二人の経験と試行錯誤を通じて到達した「不確実な時代に求められるリーダー像」について語り合います。