ラーメンには見えないコストがかかる
そうなると、鶏ガラだけでなく、肉のついた丸鶏を使うことになる。鶏の旨味をダイレクトに感じるスープなので、当然銘柄鶏、ブランド鶏を使うことになる。
以前、東京・三ノ輪にある鶏清湯系の名店「トイ・ボックス」で仕込みを見せてもらったことがあるが、ケンタッキーフライドチキンの厨房のようなむせ返るレベルの鶏の香りに包まれていた。これで、表面に黄金の鶏油が輝く澄んだスープに仕上がる。鶏は一切れものっていない。すべてスープの材料として使うのだ。
このように「ラーメンには見えないコストがかかる」のだが、食材のコストに加えてスープの仕込みにかける時間の比重が高まったことも大きい。
前述した通り、水道光熱費についてもスープ作りにおいてはかなりのコストになっている。短い所でも数時間、長い所では数十時間、24時間火を止めないでスープを炊くお店もある。まさに見えないコストが高く、目に見えるトッピングや麺だけで判断してはいけないということがよくわかるだろう。
