親は変わらない

さかもと こういう記事を読んで、「自分も子どもをつらい目に遭わせたかも」と気づく親はいるんでしょうか? 私の両親も高齢なので、今さら価値観を変えてと迫るのは酷ですが、いつも文句を言い、不満を抱えていた母が気の毒でした。カウンセリングなどで、残りの人生がよくなる可能性ってあるのかしら?

信田 申し訳ないけれど、その可能性はほぼゼロでしょう。私は「親に変わってもらいたい」「最後に『申し訳なかった』と言ってほしい」と訴える女性たちを何百人も見てきました。でも実際にカウンセリングに来てくれる親はほとんどいません。

大塚 そうですか。では、親を変える方法はない?

信田 娘が長期間連絡を絶ったうえで、「お母さんがカウンセリングを一定期間受けること」を条件にして、カウンセリングセンターで親子の対面をするといった方法でしょうか。その際に娘への謝罪の手紙を書くように勧めるんですが、それがまったく「謝罪」じゃないんですよ。

さかもと 私も夫との再婚をきっかけに「もう会わない」と伝えたとき、母が大学ノート1冊分の日記のようなものを送ってきて。夫が「今は読むな」と言うので、ごく最近、元気になってから読んでみたんです。「悪かった」と言ってくれるのかと期待していたのですが、「どれだけ自分が夫と舅からひどい目に遭わされたか」「長女(私)がいかにかわいくなかったか」って、もう連綿と。(笑)

信田 典型例ですね……。貴重な資料ですから、そのノートはぜひとっておいてください。(笑)