「いつもお盆の時期にこれを作るのが習わしでした。柿の葉は防腐効果に優れているし、殺菌作用のあるショウガなども入れるので、夏場でも2、3日は安心しておいしく食べられる。昔の人の知恵はすごいですよね」
20代で結婚して石川県小松市の実家を離れた佐々木さん。毎年お盆休みに帰省するたびに、母親がもてなし料理として柿の葉寿司を作ってくれたことを、今も懐かしく思い出すという。
「うちは本家だったので、昔はお盆になると20人ぐらい親戚が集まり、宴会が二晩も続いたものです。私たちが到着したときにはもう柿の葉寿司はできあがっているんですが、人が多くてそれだけでは足りなくなるので、2回目を作ります。そのときに私も母を手伝いながら、見よう見まねで覚えました。
この木枠は母が祖母から受け継いで、母が亡くなってからは実家にしまってあったもの。何年か前に、娘がお友達に柿の葉寿司の話をしたら『食べてみたい』というので、実家から枠を持ってきて、久しぶりに作ってみたんです」