評判が評判を呼んで
米5合分に対し、柿の葉を60枚ほど使う。葉をきれいに洗い、下ごしらえした材料を丁寧に重ねて枠に並べ、上から重石を載せる。作り方はシンプルだが、手間暇のかかる料理だ。地球環境に優しく、日持ちがして、栄養満点。おいしい柿の葉寿司は、たちまち食べた人たちからの評判を呼んだ。
やがて「どうせならみんなで一緒に作ってみよう」という話になり、娘の優子さんが奔走して初のワークショップが開かれたのが2018年のこと。懇意の造園業者から新鮮な柿の葉と場所を提供してもらい、優子さんの知り合いを中心に6名が集まる。
会は好評で、参加した人たちから「ぜひ来年も」と請われた。だがその直後のコロナ禍で、しばらくワークショップは休止に。去年、「状況も落ち着いてきたし、また開いてほしい」と以前の参加者からリクエストがあって再開。口コミが広がり、今年の参加者は9人に増えた。
「ひと様に教えるなんていう、たいそうなものではないです。私自身も若い方たちとお話ししながらお寿司を作るのが楽しくて、おしゃべり会みたいな感じね。娘とお友達の皆さんがいなかったら、こんな面白い経験はできなかったと思います」
佐々木さんは6年前に夫を亡くした。以来、近居の優子さんがワークショップだけでなくさまざまな場所にも誘ってくれる。