覚悟がないと続けられないのが生の舞台
私は23歳で、もたいまさこさんたちと「劇団3○○」(当時は劇団2○○)を旗揚げしましたけれど、映像作品に出るようになったのは、28歳で出演したNHKの朝ドラ『おしん』からです。ちょうど、劇団を1年間休止するっていう時期でした。みんなでバイトをしてお金を貯めてからもう一度やろうって言っていた年にNHKからオファーをいただいたので、引き受けられたんです。舞台が続いていたら、テレビ出演はしていなかったと思います。
劇団を続けていくのは並大抵のことではありません。さらに2020年にはコロナ禍による大打撃が演劇界を襲いました。文化庁が援助をしてくれましたけど、それも一時期で、解散してしまった劇団、閉館した劇場は少なくありません。
私には、幸運なことにいくばくかの貯蓄があったから、赤字の公演があっても続けてくることができました。しかし、劇団の運営が厳しい状況では、若い役者を育てていくことはさらに難しい。今まで以上に、食べていける人と食べられない人の差が広がっているように感じます。推し活の一環になっていたり、大手が行う作品は連日満員御礼ですが、そうではない作品との格差が一層進んでいます。でも若い人が夢を諦めてしまうと、演劇の文化自体も衰退してしまう。若い人にどうやって食べていってもらうのか、そんなことに頭を悩ませてきました。
演劇には、観てくださる方に生きる勇気を届ける力がある。私自身、演劇に励まされ、勇気づけられて今があります。現在の日本では、若い人がさらに貧しくなっていますから、舞台のチケットを買うのは一苦労のはず。みんなが苦しい中で、どうしたら次世代に繋げていけるのか、そんなことを考えていると、一時たりとも休んでいられないですね。






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