（6ページ目）渡辺えり「原動力は怒りや孤独。大好きだった母親には二度と会えないけれど、痛みがあるから分かること」『また本日も休診～山医者のうた～』｜芸能

演劇は、「平和の祈り」そのもの

『また本日も休診』には、自然の大切さ、人の情愛の尊さというテーマが根底にあって、それはすなわち非戦・反戦ということ。反戦を語らずとも演劇をやる、観るという行為自体、平和の祈りのようなところがあります。人が劇場に足を運んで笑ったり泣いたりすることができる、その土台に絶対に必要なのが「平和な世界」ですから。時代はうつりかわって戦争のない世界に近づいて行くのかと思いきや、現実ではガザ地区やウクライナへの無慈悲な爆撃が止んでいません。

今回、柄本さんが演じる医師の鯛山先生は、破天荒なところもありますが、無医村に根付いて、貧しい人にも分け隔てなく治療を行い、人々の暮らしを守り続けてきました。そういったことにも思い巡らせながら舞台を観ていただけたらと思います。