「仕事に向き合おうとしてもうまくいかない」「上司が何を考えているのかわからない」など、働く上での悩みや不安は、いくつになっても尽きないもの。このような悩みについて、関西テレビや国際交流基金での勤務経験を持つ神戸学院大学現代社会学部の鈴木洋仁准教授は、「社会学」に基づいて考えることで、働きやすくなるヒントが見つかると語ります。そこで今回は、鈴木准教授の著書『社会人1年目の社会学』から一部を抜粋し、社会学の視点から職場のモヤモヤを解きほぐしていきます。
なぜ仕事のやり方は人によって違うのか
鈴木准教授「浮かない顔だけど、何かあった?」
新卒1年目の男性「仕事のやりかたを教えてほしいって、先輩とか課長に聞くんですけど、みんな『人それぞれ』としか言ってくんないんすよ」
鈴木准教授「ああ。仕事って、マニュアルがあってないようなものだから、迷うよね」
新卒1年目の男性「きまりがあったほうが、もっとタイパもコスパもいいと思うんすけど」
受験勉強は塾が教えてくれます。車の運転は教習所で教わります。電化製品にはトリセツ(取扱説明書)がついています。
何ごとにも手順があって、やりかたがある、と思ってきましたよね?
学生時代のアルバイトには大体マニュアルがありましたが、それが正社員(とりわけ頭脳労働)になると、マニュアルがありませんから、そこで躓きを覚える人もいるのではないでしょうか。
でも、仕事には、マニュアルはなかなか見当たりません。先輩や上司が、経験談(の仮面をかぶった自慢話)を語ってくれるものの、「やり方」はなかなか教えてくれません。
期限ギリギリまで粘って仕上げる人もいれば、雑のように見えても速さを重視する人もいます。何が正解か困惑するのも当然です。