「人それぞれ」が会社をつくる

「個人化」ということばを、聞いたことはないでしょうか?

平たく言えば、「人それぞれ」です。村をはじめとした地域の共同体(まとまり)に縛られていた段階から、ひとりひとりの自由な意志に基づいて生きられるようになる、それが「個人化」です。

『社会人1年目の社会学』(著:鈴木洋仁/クロスメディア・パブリッシング)

いろいろな社会の出来事の原因は、個人にあるでしょうか、社会にあるでしょうか。社会学の最も基本にある問いですし、それだけに、決定打はありません。

仕事への対応も同じです。

専門用語でいえば、「方法(論)的個人主義」と「方法(論)的集団主義」という言い方があります。見る方法として=方法論的に、「個人」と「社会」のどちらを重視するのか、の違いです。個人に力点をおけば、それぞれの行動が積み重なった結果(「方法(論)的個人主義」)なのか、それとも、社会の動きによるもの(「方法(論)的集団主義」)なのか、そうした対立です。少し難しいですが、ついてきてください。

仕事のやり方は、みんな違う、だけであれば、いちいち、社会学を取り出すまでもありません。「人それぞれ」で済んでしまうでしょう。その個人が積み重なったものが会社だと考えれば、顔も性格も、ひとりとして同じ人はいません。別々の人間が、各々の仕方で仕事をして、合算したら会社の業績になる、と見るほうが妥当かもしれません。