なぜそう考えるようになったのか。ひとつは、父の存在だ。

高校を卒業してから働いてきた父は、私と姉に対しても娘だからとただ「かわいい、かわいい」と甘やかすばかりでなく、ひとりの人間として、そしてひとりのアスリートとして大切なことを教えてくれた。バレーボール選手として10代の頃から注目されてきた私に対してもそう。

「紗理那、日本代表に選ばれることや、目指せる環境にいること。その実力があることは素晴らしいことだけど、でもそういう輝く時期は30歳ぐらいまでだぞ。人生は、その後のほうがずっとずっと、長いけん」

父に言われたからそう決めたわけではない。古賀紗理那、という私個人も、小さい頃から子どもが好きで、バレーボール選手になりたいと思う以上に、いつか結婚して子どもが欲しいという夢があった。それは結婚した今も変わらない願いだ。

もともと思考が現実的で、子どもが欲しいと思うならば何歳で結婚すればいいかを逆算して考えるタイプだった私は、「30歳までには子どもが欲しいから、バレーボール選手になって活躍したとしても、27、28歳で引退しよう」と心に決めていた。

 

後悔しない選択』(古賀紗理那:著/KADOKAWA)