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なぜか。そこには2つの理由がある。

ひとつは、パリオリンピックの開幕前からバレーボールに関しては、女子日本代表と比べて、男子日本代表のほうに圧倒的な期待と注目、関心が寄せられていたこと。

私もバレーボール選手として客観的に見ていて、男子日本代表の強さや魅せるバレーボールの面白さも理解している。ネーションズリーグでも2年続けてメダルを獲得したし、人気があるだけでなく紛れもなく強い。私自身の気持ちを言えば、夫の西田有志もいるチームだ。もちろん応援していたけれど、女子バレー日本代表キャプテンの古賀紗理那としては、やっぱり女子バレーにも注目してほしかった。

それならば、「私の引退発表をすれば、ほんの少し、今までよりも女子バレーにも注目してもらえるかもしれない」と考えたのがひとつのきっかけだった。

そして、もうひとつは、見る人の立場に立った時、もしも自分が引退する選手の最後を見られず、そのうえこれが最後だと知らずに終わってしまったらどう思うか。

日本国内のことを言えば、リーグ戦が行われる国内バレーボールシーズンは10月から翌年の5月。5月のゴールデンウィークには毎年大阪で黒くろ鷲わし旗きという大会が開催されていて、この大会がシーズンを締めくくる大会になることもあり、現役引退を発表して臨む選手が多くいた。そしてその選手を応援するファンの方々や家族、友達、多くの人たちが最後の雄姿を見に訪れていた。