カッコつけるわけではないけれど、私が今までバレーボール選手であり続けられたのは私ひとりの頑張りだけではない。自分でもそれなりに頑張ってきたほうだと胸を張ることはできるけれど、ひとりの力では到底無理。家族や友達、仲間、応援してくれた人たち。

たくさんの力があったから頑張って、踏ん張り続けることができた。

だからせめて、今まで応援してくれた人たちにも最後の姿を見てほしかった。

たとえ、パリの現地で見ることが叶わなかったとしても、テレビや配信を通して、バレーボール選手として戦う古賀紗理那の姿を見てほしかった。

ただし、自分だけに注目してほしいわけではない。あくまで見てほしいのは女子日本代表だ。だから、本当はフランスに向けて出発した後、現地に着いたタイミングで発表したかった。

でも、周りからは「立場があるのだから報道陣に向けてしゃべることも責任だ」と言われて、発表は9日になった。

出発前の発表は、本意ではなかったけれど、ここで自分の意見ばかりを言い張って、肝心の「感謝を伝えて最後の姿を見てほしい」という思いまで叶わなくなってしまったら意味がない。

頑固な私も譲るところは譲る。
それぐらいの柔軟さは持ち得ているつもりだ。

 

※本稿は、『後悔しない選択』(古賀紗理那:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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後悔しない選択(古賀紗理那:著/KADOKAWA)

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