16歳で日本代表デビューを果たして以来、日本女子バレーボールを代表する選手として活躍してきた古賀紗理那さん。日本代表のキャプテンとして挑んだ2024年パリオリンピックを最後に、現役引退を表明しました。選手人生を通して多くの選択をしてきた古賀さんが語る「後悔しないための選択」とは?初のエッセイ集『後悔しない選択』より、一部を抜粋して紹介します。
本物とは何か
本物とはどんな人か。そして本物になれない人とは何が違うのか。
それぞれの道で、さまざまな定義があると思うけれど、私が思うのはひとつ。
挫折を挫折だと受け止めてそこから頑張ってきた人と、挫折を人のせいにしていたり、そもそも挫折を挫折とも思わずにただ何となくやり過ごしたりしている人。
この違いが、本物か、本物ではないかを分ける差ではないか、と私は思う。
人間誰だって、苦しいよりも楽しいほうがいい。
でもアスリートとして、成長するために、時に苦しむことは大切で、必要なことだった。どうして勝てないのか。どうしてうまくいかないのか。正しいと思って進んでいるはずなのに、誰もいないと感じる孤独感。そのたび、いつも苦しかったし孤独を感じた。そしてどれだけ努力しても報われないことがあるたび、なぜそうなったのか。
理由や答えはわからなくても、いつも悩んできた。