振り返ればあれもこれも、いいことも大変だったことも浮かんでくる3年間。
特にきつかったのはパリオリンピックの前年、23年の日本代表シーズンだった。
キャプテンになって、嫌われることなど厭わず、必要だと思うことは全部言ってきたし、行動に移してきた。
同じ「日本代表」なのだから、技術や体力の違いはあっても、意識の違いはどうにかして埋めたかったのに、訴えかけても届かず、がっかりしたこともある。
それでも、やると決めてここにいるのは自分だ。甘えるな。
オリンピック予選に向けて、その前に開催されるネーションズリーグは勝敗の大切さだけでなく、メンバー選考も兼ねていた。中でも精度を武器とする日本代表にとって重要なポジションがセッター。
当時の日本代表でセッターを務めたのがセナ(関菜々巳)。東レアローズ(現・東レアローズ滋賀)で正セッターとして長年経験を重ねて、日本代表にも選出された。真面目で、練習熱心。周りからの助言もちゃんと聞いてやってみようとチャレンジするので、周りの選手からも「助けたい」と思われる選手だ。
とはいえ、セッターは人柄が優れていて、真面目ならば全員が勝てるかと言えばそうではない。セナはいつも一生懸命だったけれど、その必死さや真面目さが裏目に出ることもあり、試合の競り合った場面で「早く決めさせたい」と思うがあまり、トスを突きすぎて力が入ってしまったり、速さを意識しすぎてトスが低くなってしまうこともあった。