私は勝ちたいから、強くなりたいからアプローチしてきただけだ。否定したことなど一度もないし、嫌いだから、不満だから言ったわけじゃない。試合をするたび抽出される課題を根本から解決するための策として提案して、セナも自分の課題を課題だと受け入れて練習してきただけなのに「笑え」で済まされようとしている。正直な気持ちを言うならば、そのひと言でそれまで耐えてきたことや、頑張ってきたことが決壊してしまいそうなぐらい、すべてが壊れてしまいそうだった。

トスが合う、合わないというのは、スパイカーとセッターの相性も大きい。

でも、どちらか一方に問題があるかと言えばそうではない。

だからこそ、私は練習の中で合わなければ裏でコソコソ言うのではなく、その場で「もっとこうしてほしい」と伝えてきたし、それが個々を高め、チームを強くするための方法だとも思って実践してきた。

笑えば勝てるのか。

今乗り越えなければならない壁を乗り越えることができるのか。

その時に本気でキャプテンも、バレーボールも辞めようかと考えたのは事実だ。

でも私は辞めなかった。諦めたのか、と思われるかもしれないが、そうではない。

むしろどれだけ考えても理解できない発想の違いが、私に、私を変えるチャンスを与えるきっかけになったからだ。

 

※本稿は、『後悔しない選択』(古賀紗理那:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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後悔しない選択(古賀紗理那:著/KADOKAWA)

2024年8月に現役を引退した元バレーボール日本代表キャプテン、古賀紗理那の初エッセイ。
16歳にして、日本代表デビューを果たして以来、日本女子バレーボールを代表する選手、日本のエースとして活躍した古賀紗理那が初めて語る「後悔しないための選択」とは? 初めて明かすプライベートな一面も。