「撮影協力」の内容は

――「撮影協力」として、具体的にどのようなことをご担当されたのでしょうか?

一つは第3回であったような、彫師や摺師が登場するシーンでのご協力ですね。

劇中で蔦重が最初にてがける『一目千本(ひとめせんぼん)』という作品があるのですが、その版木などは実際に私たちが彫り、撮影現場で使っていただきました。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

それから、錦絵の「色」に関するディレクションも大きな仕事です。劇中で登場人物が手にする浮世絵、特にアップで映るものは、やはり木版画でないとリアルさが欠けてしまう、ということでした。

そこで、私たちが持っている作品をお貸ししたり、ないものについては、江戸時代に摺られたオリジナルを参考に「摺りたてはきっとこんな色だっただろう」と色を復元していく作業をお手伝いしました。ちなみにこれは、私たちが普段、復刻版を作る時と全く同じプロセスなんです。

あとは、制作に使う道具をお貸ししたり、脚本の監修のようなこともさせていただきましたね。セリフの言い回しや、「そもそも、こういうシチュエーションはあり得るんですか?」といったご質問にお答えしたり。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

史実としてどうだったかという“リアル”と、物語としての面白さを追求する“ドラマ”。その境界線の難しさは、今回、非常によく勉強になりました。またこうやって作ることで面白くなるんだな、と。