永代供養には2つの種類がある
まず、「永代供養」には、大きく異なる2つの種類があることを知ってほしいです。江戸時代の寺請制度時代から続いてきた「本来の永代供養=永代祠堂(えいたいしどう)」と、永代祠堂から派生した「現代の永代供養」です。
前者の「永代祠堂」の利用者は、菩提寺の檀家であることが前提です。墓や仏壇の継承者がいなくなった(いなくなりそうな)場合に、遺骨を合祀墓に移し、位牌を菩提寺の位牌堂に祀って、住職が「永代にわたって」供養します。毎日、回向する位牌を「日牌(にっぱい)」、月命日に回向する位牌を「月牌(がっぱい)」などと呼びます。戒名は永代祠堂台帳に記載され、菩提寺で永続的に受け継がれます。
赤の他人同士が合祀され、一冊の永代祠堂台帳に記載されて、回向されるのですから、供養の期限は「ほぼ永久」ととらえてよいです。永代祠堂のポイントは「菩提寺が」責任をもって供養してくれるところにあります。永代祠堂は、現在も多くの寺で受け継がれてきています。
一方で「現代の永代供養」は、ちょっとニュアンスが違います。先述のように「本来の永代供養(祠堂)」は、一族で祀り続けることのできなくなった故人を、菩提寺が代わって供養し続けるものです。ですが、「現代の永代供養」の特徴はそんなにシンプルではありません。主に次の4つの特徴があります。
(1)檀家でなくとも誰でも買える(一見でも受け入れてくれる)
(2)宗旨宗教を問わない
(3)多くが期限付きの供養
(4)納骨期限を迎えれば合祀墓等に改葬される
檀家に限定される永代祠堂とは異なり、現代の永代供養はかなり門戸が広いです。檀家の枠組みから離れ、宗旨を問わないので、「縛り」はゆるい反面、能動的に供養する責任はむしろ「遺族側」にあるといえます。
