私が演じたすみれさんは85歳の設定なので、私と同世代。壮絶な人生を潜(くぐ)り抜けながら事業を成功させ、財産もある。
彼女は自宅を売り払い、郊外の老人施設に入居するためにタクシーをチャーターするのですが、その時に人生で縁があった場所に寄り道してもらうんです。
下町の路地では、私自身が子ども時代を過ごした場所を思い出しましたし、横浜でも、タクシー運転手を演じた木村さんと素敵なシーンを撮影して。だんだん自分の人生を旅している気分になり、私はどういうふうに最期を過ごすだろう、これからの生き方について考えなきゃ、なんて思ったりもしました。
すみれさんが東京大空襲を経験している設定なのは、山田監督のこだわりだと思います。作中に出てくる「焼夷弾が落ちてくるなか、子どもを背負って逃げた」という話を、私も実際に経験者から聞いていたので、台詞を読んだ時に鳥肌が立って。
もう少し冷静に伝えたほうがよかったかなと思ったのですが、つい熱くなってしまいました。
 
    




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