「だんだん自分の人生を旅している気分になり、私はどういうふうに最期を過ごすだろう、これからの生き方について考えなきゃ、なんて思ったりもしました」(撮影:浅井佳代子)
13歳でデビューして以来、84歳を迎えた現在も活躍を続ける倍賞千恵子さん。しかし、年齢を重ねていくなかで、大きな病気やケガも経験したと言います。これまでどのように自分と向き合い、動ける体を維持してきたのでしょうか。(撮影:浅井佳代子 構成:篠藤ゆり)

前編よりつづく

撮影しながら自分の生き方を考えて

こうして日頃から健康に気を使っているのは、仕事を続けるためです。いつオファーが来てもいいように、体調は万全に整えておかなければ。実際、何度も病気やケガを乗り越えて、心身ともにすこぶる元気です。

11月には、木村拓哉さんと共演する『TOKYOタクシー』が公開されます。ある時、山田洋次監督から「フランス映画の『パリタクシー』を観てください」と言われて。終活に向かうマダムとタクシー運転手の物語だったのですが、観終わったら心がポッと温まりました。

山田監督は、この作品を日本に置き換えるというのです。そして出来上がった台本を読んで、「へぇ~っ! こんなふうになるんだ」とびっくり。マダムが最初にタクシーに乗る場所が〈寅さん〉の故郷である柴又だったり、山田監督の遊び心も感じました。