「嫌な人ではなく、違う人」

一方で、これからは多様な価値観を受け入れる必要があるのではないか、とも考えています。日本人は全体的に、価値観の異なる人との冷静な意見交換が苦手で、自分と同じような価値観を持つ人が正しい、と思ってしまいがちなところがあるかもしれません。

でも、嫌だとか受け入れられないと感情で判断するよりも、ここはひとつ冷静になって「自分には理解できそうもないけれど、あの人はそういう世界観で生きていて、だからそういう考え方をするんだな」と俯瞰して見ることも大切です。

どんな職場でも――たとえば私が経営する事務所でも、スタッフにはそれぞれ個性があり、恥ずかしながら時には理解しがたい行動をとる人も過去にはいました。もちろん、社会人としてマナー違反だったり、同僚に迷惑をかけていたりする場合は、上司として注意をします。大抵はそれでわかってもらえますが、その人の行動が完全に改まるわけではありません。でも、「嫌な人ではなく、違う人」と思って相手を理解して、周囲が受け入れることも大切だと思っています。

先日、事務所のメンバー全員で、ある個性診断を受けたんです。コミュニケーションのとり方一つとっても、“会話性”が高い人低い人、“交流性”が高い人低い人、“自立性”が高い人低い人など、それぞれの気質や特性に特徴があります。

全員で結果を見せ合って、わいわいと話し合うと、「そうか、あの人は空気が読めないんじゃなくて、交流性が低いだけなんだ」とか「自立性が高いから、一人で過ごすことが多いんだ」など、お互いのことをもっと認め合える雰囲気になりました。