明治時代にはベストセラーも

江戸末期に書かれた武士同士の恋愛を描いた(このジャンルは衆道物語とか若衆物語という)『賤のおだまき』は薩摩の武士、平田三五郎宗次(実在した)が主人公で、吉田大蔵清家との邂逅と、「庄内の乱」(1599年)で2人が討ち死にするさまを描き、武士道と男色を称揚しています。

この作品は明治時代、ベストセラーになったようです。ということは、学生の間ではまだ衆道が盛んだったのだろうと想像がつきますが、森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』(青空文庫で読めます)をみると、その想像は当たりであるように思えます。

飛び級で学生生活を送っていた鴎外は随分と豪傑たちに「結縁」を迫られますが、豪傑の一人の「古賀」は、彼の生涯の親友であった賀古鶴所をモデルにしているといわれています。

よけいなことを一つ付け足すと、いま「童貞!」と女性に罵られるのは男性の恥辱であるように捉えられていますが、鴎外のころは「童貞」は身を清らかに持している褒め言葉だったようです。また、男性が同性の恋人と関係を結んでも、「童貞」状態は守られている、と認識されたようですね。

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大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)〜

【放送予定】2025年1月~

【作】森下佳子

【主演】横浜流星(蔦屋重三郎 役)

【制作統括】藤並英樹 【プロデューサー】石村将太、松田恭典 【演出】大原 拓、深川貴志

【放送予定】[総合]日曜 午後8時00分 / 再放送 翌週土曜 午後1時05分[BS・BSP4K]日曜 午後6時00分 [BSP4K]日曜 午後0時15分