過剰適応は社会的動物である人間の宿命!?

生きづらさを感じてまで、人間はなぜ社会に過剰適応しようとするのでしょうか。それは、人間が社会的な生き物であり、どこかに所属して居場所を得ないと生きていけないからです。

人間は太古の昔から、食料の確保や天敵から身を守るために、集団で協力して生きてきました。

また、生まれてすぐに立ち上がることも、自分の身を守ることもできないので、生存のためには集団の中で守られ育てられる必要があったのです。

集団に所属しなければ命の危険に直結することが、身体レベルで記憶に刻まれているのです。自分を偽ってでも、多少の自己犠牲を強いてでも、集団の中に居場所を持ちたい。そうした切実な願いが、社会への過剰適応を生み出していると考えられます。
 

※本稿は、『心を病む力: 生きづらさから始める人生の再構築』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

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