「大老の家」と「実力派の大老」

この説明にぴったり当てはまるのが井伊家の大老です。

井伊家は直孝、直澄、直興、直該(直興改め)直幸、直亮、直弼と6人の大老を輩出しています。まさに「大老の家」です。

彼らの特徴は老中以下の要職に就いて苦労を重ねていないこと。家柄を根拠としてポンと大老に就任しています。そのため、直弼を例外として、老練な老中を超えるような権力を持ちませんでした。

家柄が、という説明がそぐわないのが土井と堀田です。

この二家の場合は「大老の家」として定着していたわけではなく、土井利勝・堀田正俊という、強権を掌握した「個人」が出現したのです。

老中を経験し、権力を確保し、他の老中以下との力関係をハッキリさせるために、彼らは一つ上の大老にのし上がった。つまり実力派の大老です。

彼らのあとに、土井と堀田からは大老は出ていません。