「善意で言ったつもりが悪意として受け取られてしまった」「説明を真逆に解釈されてしまった」など、自分の言ったことが誤解され、上手く伝わらなかった経験はありませんか。「誤解を解くこと以上に大切なのは、『相手にどう伝わるか』を事前に考えることではないでしょうか」と語るのは、認知心理学を専門とする、三宮真智子大阪大学・鳴門教育大学名誉教授です。そこで今回は、先生の著書『なぜ、あなたの話し方は誤解されるのか~意図を正しく伝えるためのメタ認知』から一部を抜粋し、自分の意図を正しく伝えるコミュニケーションの方法をご紹介します。
新社会人が戸惑う「~していただけると幸いです」――意図の誤解「間接的要求」
新卒で社会人となった人たちは、まだまだ学生気分が抜けていないところもあります。そのため、社会人としての言い回しには慣れていません。
こんなことがありました。
Aさんは、自分のチームの上司から、
「明後日のイベントの話だけど、少し人手が足りないんですよ。土曜日だし急な話で、まあ無理かもしれないんだけど、もし手伝っていただけると幸いです」
と言われました。
「その日は特に予定がないけど、せっかくの土曜日だし…」と軽く考えたAさんは、手伝いに行きませんでした。
すると、翌週の月曜日、上司から言われました。
「あなた以外は、みんな来てくれましたよ」
Aさんが「しまった!」と思ったのは、言うまでもありません。