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エネルギー源の脂質を上手に摂るためには

体内でたんぱく質に十分働いてもらうには、三大栄養素の中で最も効率のいいエネルギー源である脂質の摂取も不可欠です。脂質が不足すると、代わりにたんぱく質がエネルギー源として使われてしまい、筋肉や骨を作るといった本来の働きができません。

脂質を摂取する際は、体にいいアブラを選ぶことが重要。種類によって摂り方も異なります。まず、加熱料理には熱を加えても酸化しにくい飽和脂肪酸のアブラを使いましょう。具体的には、バターやラードなど動物性のアブラ。ココナッツオイルも飽和脂肪酸を多く含み、抗菌作用で腸内環境が整うのでおすすめです。

一方、不飽和脂肪酸である液体のアブラは熱で酸化しやすいため、加熱しない料理に向いています。積極的に摂りたいのは、体内で作ることができない必須脂肪酸「オメガ3系」のえごま油やアマニ油。サラダや豆腐などに直接かけて食べるといいでしょう。たんぱく質と脂質を手軽に摂取できるメニューを左に紹介しますので、参考にしてください。

たんぱく質ファーストの食事で野菜の量が少なくなると、ビタミン不足が気になる人もいるかもしれません。肉にはビタミンB群や亜鉛、鉄などが多く含まれていますし、魚はビタミンAやD、カルシウム、マグネシウムが豊富です。

安心してたんぱく質を増やしてください。野菜は積極的に摂ろうとしなくても、体が自然と欲するもの。そのときの気分で好きな分だけ摂取すれば十分なのです。

最後につけ加えると、たんぱく質ファーストはきっちり守る必要はありません。たとえば焼き魚定食なら、最初に味噌汁をすすり、焼き魚を一口食べ、途中で惣菜をつまんでもいい。

大切なのは、「メイン料理(たんぱく質)を残さず食べる」「ご飯(糖質)は最後」。これさえ守れば、あとは臨機応変に自分で満足できる食べ方で大丈夫です。

たんぱく質をしっかり消化吸収できるようになると、筋肉量の維持や心身の不調の改善につながります。たんぱく質貯金は何歳からでも始められますので、腸漏れの可能性がある方は、自分が食べているものを見直してみてください。