どれだけ頭が良い人でも避けられない問題
視野狭窄のせいで選択を間違える現象はあらゆるシチュエーションに存在し、この問題は、どれだけ頭が良い人でも避けられません。
オハイオ州立大学が一流企業で働くCEOやCOOを調べた研究では、彼らが行ったさまざまな選択を168件ほど集め、「新たなビジネスモデルを採用すべきかどうか?」や「他の企業から優秀な人材を引き抜くか?」といった意思決定が成功に終わったかどうかをチェックしました。[3]
その結果は驚くべきものでした。意思決定の際に3つ以上の選択肢を吟味したビジネスパーソンは29%だけで、たいていは「優秀な人材を引き抜くか引き抜かないか」や「あらたなデザインを採用するか採用しないか」といった二択でしかものごとを考えていなかったのです。
当然、そんな雑な選択がうまくいくはずもありません。データによれば、二択だけで意思決定をした場合の失敗率は52%なのに対し、3つ以上の選択肢を用意した場合の失敗率は32%まで下がっています。
これらの調査から私たちが得られる教訓は、とてもシンプルです。
*私たちは、仕事選びについてもっと徹底的に考え抜くべきである
なんとも平凡な結論のようですが、すでに見たとおり、多くの人は職業選択の場面ですら驚くほど視野が狭くなります。
3.Paul C. Nutt (1993)The Identification of Solution Ideas During Organizational Decision
※本稿は、『新版 科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『新版 科学的な適職』(著:鈴木祐/クロスメディア・パブリッシング)
本書は、サイエンスジャーナリストの著者が、膨大な研究データを分析し、人間の幸福度を最大化する仕事選びの方法を「AWAKE」という5つのステップで体系化しました。
性格テストや直感に頼らず、「仕事の自由度」「達成感」「明確さ」など7つの徳目をベースに、科学的に正しい意思決定を行うための実践的なツールを提供します。




