日本でのフェスの起源は……
日本でのフェスの起源は、1960年代の「全日本フォークジャンボリー」とも言われますが、現在のフェスの原型となったのは、やはり1997年の「フジロックフェスティバル」でしょう。
ロックと銘打っているものの、多様な音楽ジャンルのアーティストが参加し、南北に4キロにも及ぶ、新潟県・苗場スキー場の大自然のなかで、キャンプやフード、その他さまざまなアウトドア体験も楽しめるイベントとして、日本の現在のフェス文化のひとつの雛形になっています。この他にもスタジアムと展示場を中心に開催されるサマーソニックのような都市型のフェスもひとつの雛形となっています。
ちなみに、日本の音楽フェスは海外と比較して、マナーのよさが非常に高いレベルにあると言われています。たとえば、フジロックでは、来場者がゴミ拾いをしたり、きちんと分別したりしています。一方で、私がロンドンのフェスに行ったときは地面がゴミだらけだったことを覚えています。
もちろん、それまでも音楽は人々に「聴いて」楽しまれるコンテンツであったのですが、フェスの拡がりは音楽を「観に行ったり、体験しに行く」ことを一般的なものにした効果が大きいと言えるでしょう。
ライブやコンサートのように「このアーティストが好きだから会場に足を運ぶ」だけではなく、「そこに行けば音楽をきっかけとした楽しい体験ができるはず」という期待のもと、より多くの人々が動くようになった――フェスによって音楽イベントがお祭りのような身近なものになったわけです。
さらに、音楽の楽しみ方という観点では、配信におけるプレイリストが重要な役割を果たしているのと同様に、フェスも主催者のキュレーションによってさまざまなジャンルやスタイルのアーティストが一堂に集う「リアルなプレイリスト」と言えます。多くのフェスでは複数のステージが設けられ、それぞれが独自のテーマやカラーをもってアーティストを紹介します。その結果、観客の1日全体が「編集された音楽体験」として演出されるのです。
