フェスが音楽ビジネスにもたらした変化
そして、フェスは音楽ビジネスにも3つの領域で大きな変化をもたらしています。
1つはフェスのカルチャーが新たなライフスタイルを提示したことです。それまで日本にあまりなかったファッション、フード、ドリンクといったカルチャーがフェスによって定着しました。これに勢いを付けたのがソーシャルメディア、特に2000年代からのSNSの普及です。フェスに参加していることをInstagramやXに投稿することがフェス文化における自己表現の楽しみになっています。
このフェスカルチャーのソーシャルメディアを通じた伝播は、国を跨いだ移動も生じさせています。
Lollapalooza(ロラパルーザ)というアメリカ・シカゴから生まれた音楽フェスティバルは、コロナ後だけでも、スウェーデン、チリ、ドイツ、そしてインドでも開催され、周辺地域からの参加者も集めています。
この他、アメリカ カリフォルニア州の砂漠で開催され60万人以上が参加するコーチェラ・フェスティバルや、ベルギーのアントワープ郊外で開かれ約40万人が集まるトゥモローランドのように、世界中から人々が押し寄せるような大規模なフェスもあります。
2つめは、各地にさまざまなフェスが生まれたことで、地方の盛り上がりにも一役買ったこと。たとえば、フジロックフェスティバルは、2015年の調査によると、約150億円の経済波及効果があったと言われています。
この他、滋賀県出身の西川貴教さんが主宰するイナズマロックフェスなど、アーティストの出身地を全面に出したイベントも増えました。それによって、それまでのアーティスト・楽曲をきっかけとした音楽体験とは違う角度からの音楽とのふれ合い方が生まれたのです。