(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
近年、YOASOBIやAdoに代表されるように、J-POPが世界的な注目を集めています。「この動きを支えているのは、ストリーミングサービスやYouTube、SNSやショート動画、そしてそれらに組み込まれたアルゴリズムの力です」と語るのは、長年音楽業界に長く携わってきたParadeAll株式会社代表取締役の鈴木貴歩さんです。そこで今回は、鈴木さんの著書『音楽ビジネス』から一部を抜粋し、音楽ビジネスについてご紹介します。

音楽フェスが引き起こす社会現象とは

音楽ビジネスにおいて配信のようなデジタル領域が重要になる一方、フィジカル(対面)の展開もコロナ禍を経て、再び勢いを増しています。そのなかでも注目すべきは音楽フェスです。

現在、日本も含めた世界中でほぼ毎週のように各地でフェスが開催され、多くの観客を集めています。ちなみに「Festival Life」という全国のイベントをまとめているサイトで、日本でおこなわれているフェスの開催数を数えてみたところ、2023年の1年間で486回以上。日本のどこかで毎日のように開催されていることになります。

フェスは、通常の単独ライブよりも、短い時間でのパフォーマンスが中心です。屋外などの広い場所で、複数のアーティストが同時並行でパフォーマンスをおこなうケースも多く、観客は、それまで知らなかったものも含めて、より気軽にさまざまなアーティストのパフォーマンスを楽しめます。さらには会場のファッションやアート、フード、来場者同士の交流など、楽曲だけでなく、フェス文化そのものを楽しむことができるのも魅力です。

また単独ライブは、そのアーティストを目当てに来場する観客が多いのに対して、フェスはイベント自体がブランド化している点も大きな違いと言えます。

音楽フェスのルーツを辿ると1969年にアメリカで開催された「ウッドストック(Woodstock Music & Art Fair)」が有名です。ベトナム戦争への反戦、ヒッピームーブメントなど、カウンターカルチャー=既存の価値観や規範への反発が背景にありました。音響と照明などによってもたらされる、既存の価値観を外れた音楽体験、視覚体験が、一体感や陶酔をもたらしました。