イメージ(写真提供:Photo AC)
身近な人に看護・介護が必要になったとき、みなさんはどこに相談しますか?
総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている方への質問・疑問に答えてもらうのがこの連載です。第25回目は、「心の基準」についてです。
(構成:野辺五月)

前回「12月、軽やかに新年を迎えるための「優しい振り返り」」はこちら

不安こそが「備え」となっている

Q:「おたふく風邪や咽頭炎、コロナをはじめ、この時期は感染症も多く、用心をせねばと構えています。一方で、神経質になり過ぎてしまい、気持ち疲れしてしまうことも……。普段、どういうところに気を付けておけばいいのでしょうか?」

A:流行病・感染症の多くなる秋冬……インフルエンザも既にはやり始めていますし、そうでなくとも喘息が酷くなる人や秋の花粉症などで構えたくなるのは当たり前です。今回は、秋冬自体が「必要以上、漠然とした不安」を抱いてしまう時期なんだよという話とともに、心配を「備え」に変えるための、「自分の良い状態を知る」という新しい基準を考えていきましょう。

最初にお伝えすると、実は不安は消えないのです。消さなくていいといいますか……。意外に思われる方もいるかもしれませんが、不安を持つ方は、無理に不安を消そうとしないことが大切です。

一つ不安が払しょくされると、また一つ別の不安事が出てくるのが人間というものです。不安がなかなか無くなりませんが、それは実は、その不安こそが「備え」となって安心感を生んでいるからなのです。

人は全く無防備ではいられませんから、不安があるからこそ、用心できる側面があるのです。まずは、不安を無理にゼロにしようとせずに受け入れることで、「不安をなくそう」とする「ぐるぐるループ」から抜け出しましょう。

それでも「感染症対策のために」と考えすぎて「人との距離を取りすぎる」、「過剰に外に出なくなる」といった行動は、免疫力や体力を低下させ、かえって体調を崩しやすくしてしまいます。

完全に外に行かなくなると、おいてけぼり感が出てきて、人との繋がりや社会との繋がりが希薄になってしまうという弊害もあります。特に秋冬は気温の低下とともに活動量が減りがちなので、意識して体を動かす必要があります。