“鉄の女”と言われたイギリスのトリプティク
オーストラリアやアメリカだけではない。ヨーロッパにもハードなローテーションでGIを戦った馬もすくなくない。
日本の競馬ファンがすぐに思いだすのは“鉄の女”と言われた、イギリスのトリプティクだろう。
初来日した1986年は、フランスの凱旋門賞(3着)の2週間後にイギリスのチャンピオンステークスに勝ち、アメリカのブリーダーズカップ・クラシック(6着)を経由してジャパンカップに出走(11着)した。この年、彼女は7か月の間に5か国で11戦(GI10戦)している。
さらにつぎの年は、凱旋門賞(3着)のあとイギリス・チャンピオンステークスを勝って来日、富士ステークス(当時はオープン特別)を圧勝して、ジャパンカップで4着になった。この年は7か月で10戦し、富士ステークス以外はGIである。
そのトリプティクの母トリリオンはもっとすごく、1979年の凱旋門賞(5着)の2週間後からカナダとアメリカで4週連続でGIを戦い、すべて2着という記録を残している。恐るべき母と娘だ。
1983年のジャパンカップに勝ったアイルランドのスタネーラもタフな牝馬で、その年のロイヤルアスコット開催(イギリス王室が6月に開催する競馬)では中2日(!)でGIIを連勝していた。
こう書いていくと、オグリキャップのローテーションもかわいらしく思えてくるのだが、世間のイメージはそうではない。金のために、人の思惑で酷使されるオグリキャップがかわいそうという感情が大勢を占めていた。
