写真判定の結果は……
長い写真判定の末、鼻差でオグリキャップが勝っていた。奇跡的な逆転劇だった。
最後の最後までオグリキャップを苦しめたバンブーメモリーの武豊は、直線ではオグリキャップより先に抜けだすのは作戦どおりだったと言った。
「すべてこっちの思うとおりに進んでいたんですがね。完全に力負けです」
思い描いていたとおりの騎乗ができ、馬も最高の走りを見せたのだから、負けても満足しているふうだった。
一方、勝った南井は涙のインタビューになった。
「こんなに強い馬に乗せてもらって、この間、負けましたからね。借りはまだ半分しか返してないですけど、来週のジャパンカップでは倍にして返したいと思います」
レースが終わり、京都競馬場の廐舎ですこし休んだオグリキャップはそのまま馬運車に乗り、東京競馬場に向かった。
※本稿は、『オグリキャップ 日本でいちばん愛された馬』(講談社)の一部を再編集したものです。
『オグリキャップ 日本でいちばん愛された馬』(著:江面弘也/講談社)
史上最大の競馬ブームを巻き起こした「日本でいちばん愛された馬」ーーオグリキャップとは何だったのか。
オグリキャップとその関係者達を現役当時から取材し、『優駿』『Number』などで数多の名記事を執筆した江面弘也が贈る、珠玉のオグリキャップ・ノンフィクション。




